小さな街のドアベルマン
『あ、申し訳ありません』
ベルは深々と頭を下げ、ドアを開けると、ありがとうと優しい笑みを残しホテルの中へ入って行きました。
僕はどうしてしまったんだろう?
仕事を忘れるほど、お嬢様に惚れてしまったベルは、自分でもどうしたらよいのか分からなくなっていました。
他のお客様とは普通に話せるのに、お嬢様を前にすると、途端に頭が真っ白になり 何も聞けなくなってしまうのです。
名前を聞くチャンスだって今だったのかもしれない。
とさえ思い始めたベルは、次に会った時は絶対に名前を聞こう!!と誓ったのでした。