小さな街のドアベルマン
長い長い仕事が終わり、街灯が煌びやかに並ぶ街を、お嬢様がいつも帰る方とは逆の方向へと歩くベル。


お嬢様と会った時間から後の記憶がなく、未だ思い出せずにいました。


『僕は何をしていたんだろう?』


ぼそりと呟くと、暗い空を仰ぎ見ました。


『ひとり言なんて 言っても何も変わらないのに…』


静かに瞼を伏せ、長く短い家までの距離を黙々と歩きました。




ようやくたどり着いた家の電気をつけると、優しい明かりが小さな部屋を照らしました。


ベルは着ていた服を脱ぐと、寝間着に着替え、ボタンを二、三個締めた後そのままベッドに横たわりました。


『はあ…
明日もお嬢様に会わなければいけないのか。』


そんな小さな事が、今のベルには少し辛く感じはめていたのです。


腕で目を覆い、優しい明かりを避けると、疲れていたのか、ベルはそのまま眠ってしまいました。



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