狼×天然SS【文庫化記念】
お店の中にはピンクの洋服ばかりが並んでいて、"女の子"って感じのお店だった。
だから、お店の中で男の子を見かけることはなかった。
たぶんカップルで来たとしても、男の子は恥ずかしいんだと思う。
そりゃそうだよね。
こんなにピンクで可愛いお店なんだもん。
男の子は入りにくいよね。
ピンクだらけのお店の中を歩きにくそうに歩く舜を見てて、改めてそう思った。
「何だよ?」
ジーッと舜の顔を見つめてたあたしに、舜は不審者を見るような視線を送ってくる。
パッと舜から視線を逸らしたあたしを更に不審に思ったのか、
『おい』って声を掛けられた。
その声に驚いてビクッと肩を震わせつつ、舜の顔を再び見た。
「……な…に?」
やっとあたしから出た声は、裏返って掠れた小さな声だった。
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