【BL】背徳の堕天使


男にきいた情報を頼りに、佐久浪のアパートへ向かった。



「一歩間違えたらストーカーだよな……」


間違えなくともストーカーかもしれない。



独り愚痴て歩いていると、人と軽くぶつかった。



「すみません」



ぶつかった人物は慌てて俺に頭を下げ、俺が今来た方へ向かって走って行った。



ふと何かを蹴飛ばした感触に視線を下げると、黒い財布が落ちていた。



振り返って持ち主を探すも、もう姿は見えなくなっていた。



俺は財布を手にとり、身分証が入っていないかと広げてみた。



「あ……」



偶然か神のイタズラか。



中に入っていた運転免許証は、紛れもなく佐久浪のものだった。

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