【BL】背徳の堕天使
賢杜は俺に、瑠唯との出会いや交際のきっかけを淡々と話した。
それでも時折苦しそうにする賢杜に、瑠唯という女をとても愛していたことが伝わってくる。
順調だった交際に影をおとしたのは、賢杜の転勤だったらしい。
「遠距離でも、愛は変わらないと信じていた。
よく『遠距離は続かない』なんていうけれど、俺達にそれは当てはまらないと思ってたんだ」
遠距離になり、共通の話題が減り、少しずつ生活がすれ違い、連絡をとる回数が減っていき……
それでも、仕事が忙しかった賢杜は、瑠唯の心が離れつつあることに気付かなかったのだという。
「ある日『友達が結婚するんだ。羨ましいなぁ』と瑠唯が言った。
俺は何も気付かずに『良かったな』なんて……それが瑠唯からの最後のチャンスとも知らずに」
額に手をあてうなだれた賢杜に、それが別れる引導だったのだと悟る。
結婚をして欲しい、私との将来を考えて欲しい。
そういう最後の叫びだったのだろうか。
そして、それから3ヶ月たつ今も、まだ瑠唯のことが好きなんだと賢杜は言った。