【BL】背徳の堕天使
でも、チャンスだと思った。
失恋で心に開いた穴を埋めることが出来れば、きっと――
そう思ったとき、俺はそれを口に出していた。
「俺が、なぐさめてあげるよ」
なんて陳腐なセリフだろう。
なんて不様なセリフだろう。
でも、これは考えがあっての言葉なんかじゃなく、俺の本心。
俺の本音。
金のためでもなく、プライドのためでもない。
賢杜に必要なのは瑠唯であって、俺ではないことはもちろんわかっていた。
賢杜が求めているのは、磨かれた瑠璃玉のような煌めきをもつ、唯一無二の女であって。
学歴、金、全てをもぎ削いできた俺じゃない。
わかってはいたが……いや、わかっていたからこそ。
持ってるヤツからもぎ取って、なにが悪い?
まだ瑠唯を愛していると。
賢杜の全てが瑠唯だったと。
そういうのなら、俺はそれを奪ってやる。
賢杜のその一途な愛を、愛を知らない俺にくれよ。