【BL】背徳の堕天使
いつの間にか陽は傾き、部屋は薄暗く陰っていた。
開け放たれたカーテンの向こうは冴え冴えとしていて、星が美しい。
何も考えたくない今は、それが救いのように感じていた。
玄関から音がして、「ただいま」と声がした。
気が引けるかのような、俺がいるのを確認するかのような、
遠慮がちな声。
部屋へ入ってきたのを背中に感じながら、声を返すどころか振り返ることすら出来ない。
それは考えることを放棄しているからか、それとも罪悪感か。
わからないけれど、返す余裕がないというのがピッタリの理由だった。
「メシは?」
昼食すら食べた形跡がないのに気付いたのか、賢杜がそう問い掛けてきた。
無言で星を見ている俺をしばらく見ている気配を感じたが、
急に俺の腕を掴んだ。