【BL】背徳の堕天使
「瑠唯の代わりでも、誰の代わりでもなく、
アスマ、俺には君が必要なんだ」
言葉とともに優しいキスが降ってくる。
すんでのところでそれをかわし、俺は賢杜に小さく叫んだ。
「ま、待って……!」
だめだ、こんなの。
俺は賢杜を騙してたんだから。
あの男に言われ、金につられて、
そうして賢杜に出逢ったんだから。
こんなの、
こんな幸せが、
許されるはず、ない……
「賢杜、俺……っ」
俺は、全てを吐き出すかのように、一気に全てをぶちまけた。
嫌われる覚悟で。
出て行けと言われる覚悟で。
だけど賢杜は、大したことじゃないと言うかのように、
軽く肩をすくめただけだった。
「アイツが、ね……
まぁ仕事なんて、これからいくらでも挽回するさ。
大したことじゃない。
だから……泣かないでくれ」