【BL】背徳の堕天使
「君に泣かれる方が、俺はつらい」
涙が流れていることに俺は気付いていなかった。
この涙はなんだろう。
賢杜への申し訳なさ?
賢杜の優しさへの涙?
いや多分きっと、
居場所を見つけた喜びの涙、だろう。
「ありがとう、賢杜」
愛を囁くなんてことはしない。
ぬくもりにすがることも、もうしない。
回した腕は、互いの鼓動を感じさせるから。
そうして二人、歩いていこう。
何もかもを捨て去ったとしても、
この手だけは離さない。
そうすれば、
何もかもを乗り越えていける、
そんな気がするから。
世界を背にしても、
二人で堕ちようとも、
天に召されるそのときまで。
「一緒にいよう」
end