そらとくも〜2つの恋〜
翌朝
ケントの温もりをまだ引きづったまま
学校に行く。
通勤ラッシュで込み合う電車に乗り込むと
一気にケントの匂いはなくなった。
でも
なくなった方がいい。
このままひきづっていたら忘れられなくなるから。
次の恋に進めなくなるから。
ここ最近の私には
恋人とケントと煙草。
この3点セット。
いい加減どれかを減らさなきゃ、と思うけど
私の意志は弱いようだった。
駅の改札を抜けると同じ制服がちらほらと目に映る。
そこから自分の仲間を見つけて話かける。
「おはよ。」
人間は誰も信用しない。
だから私はみんなとの付き合いが浅い。
咲穂はそういうのとは違っているけど信用しているわけではない。
ただ、必然的に咲穂が私の中に入ってくるだけ。
それでも私は拒んだりしない。
これが浅い付き合いだから。
私が人を信用できなくなったのはいつからだろう。
きっと
兄の事件からだ。
もう私は女は信じない。
そう決めてきた。
だからケント以外の男がつきることもない。
もうこんな自分がいやだって分かってるのに…。