彼女はまるで風のようで
「要はそれを実行した。いじめっ子に反抗するなんて、火に油を注ぐようなものなのに。要は傷だらけになって家に帰ってきた。
今日は友達を馬鹿にした奴と喧嘩してきたんだって。あたしは気付いてあげられなかった。」





「母の性格だからそんなこと言っちゃったんだと思う。それが結果としては悪いほうに転んじゃったけど…」





僕が母を弁護しているのが気に入らないのか、物凄い形相で睨んできた。





「やっぱりそんなアドバイスありえないよね、はは。」





「でしょ?そしてそんな地獄のような日々が続いたある日、要は偶然にも浅野三千子の不倫現場を目撃し、その様子を携帯のカメラにおさめた。それを遺留品の携帯からプリントアウトしたのがさっきの写真よ。」




そう言って、再び先程の写真を取り上げて見せる。





「母はそれに気付いてなかったの?」





「それはわからない。気付いていたかもしれないし、直接本人に聞かない限りは。ただ、弟が狙われた理由はそれしかないのよ。」





フウカの表情から、まだそこに確信を持ててないようだった。
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