彼女はまるで風のようで

嵐の前の静けさ

「どうやって殺すんだ?」




「それはあたしに任せて。ユウタの仕事はそのあとの偽装工作。」





「偽装工作って、自殺に見せかけるとか?それとも…。」





脳裏にフウカのお父さんのことがよぎる。





つまり、濡れ衣ってことだ。





「それとも誰かに罪をかぶせるか。例えば浅野和也。」





父さんに…。





「それはダメだ!」





しかし、フウカは全く動じずに続ける。





「ユウタ、あなたは何もわかってないわ。浅野和也は妻の不倫を黙認したうえで、今も一緒に暮らしてる。その原動力となってるのがあなたなの。そこに息子が妻を殺したという現実を見せられたら、間違いなく精神は崩壊するわ。」





確かにそうだ。





それは避けたい。
< 46 / 50 >

この作品をシェア

pagetop