彼女はまるで風のようで

星の見えない夜に

フウカに違いない。





どんどん近付いていく。





夜風に髪を揺られながら、屋上のへりに佇む姿は憂いをおびていた。





「あたし、夜空を眺めるのが好きだったの。要が死んでから、夜空に星がひとつ増えたような気がして…あれは要なんだよ、きっと。」





今日はあいにくの曇り空で、星は見えない。





だが、フウカには星が見えているようだった。





「お姉ちゃんも、もうすぐいくからね。」





「何言ってるんだよ!フウカが死んだらお父さんが悲しむだろ!弟さんもそんなこと願ってないはずだ!」




僕は必死に叫んだ。





「ユウタ、あなたにはやっぱり母親が必要なの。あたしの母はもう何処に行ったかわからない。けど、ユウタの母親はここにいる。さっき浅野三千子とここで話したわ。」





「やっぱり、僕を残して1人で会ってたのか。」
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