森の王子様。
広い場所にたどり着きました。
森の中の憩いの場。
そこには森の住人たちが、沢山集まってきて、お話をしています。
そこには小さな切り株がひとつ、真ん中にぽつん、とあります。
生い茂っていた木は、この一帯だけ開けていて、
青い空が 「こんにちは」 と顔を出している。
女の子は、切り株の上に、ちょん、と座りました。
その膝の上にうさぎがピョン、と乗ってきました。
そして、女の子は、
「私もいつか、あんなお城にすみたいなあ」
と、うさぎをよしよししながらつぶやくのです。
切り株に座ると、少しだけ、お城がひょっこり顔を出しているのが見えるのです。
大きな、白いお城。
きっと、綺麗なお父さまと、お母さまと、王子様が住んでいるのだわ、
と女の子は言いました。
「私もいつか、あんなお城にすみたいなあ。
私のお母さんも一緒に。」
また繰り返して、しばらくの間、ぼぅっとお城を眺めるのです。
毎日草を摘んだ後の日課なのです。