0.39メートル
一ヵ月後
目が覚めて、一番最初に見えたのは、突き出たのどぼとけだった。

のどぼとけの主の腕を、わたしは枕にして寝ていた。
彼は両手でわたしの肩を優しく抱き締めるようにして眠っている。

規則正しい呼吸を繰り返す吐息を、頭上で感じる。
裸の肩に直接触れる指先が、ぴくりと動く。

起きたのかなぁ、と察して、わたしはあわてて目をつむった。


指先は一瞬、動いただけで、その後は微動だにしなかった。

ゆっくりと瞳を開き、わたしは正面ののどぼとけを見つめた。
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