夏海(15)~ポケットに入れてるだけの電話が勝手に電話することってあるよねー

くれ葉様のカメラ


必死に抵抗した結果、事態は最悪の結末に終わった…。
未だに脳裏に踊る『新日本プロレス』の文字。
あれから幾日経ったろうか…………………。

『Hey girl?』

ソファに沈み込んでいた私によだれを垂らし、舌なめずりをしながら近づいて来たあの怪物が私の記憶を呼び覚ます。

『…な、なんで…』

追い詰められた私に一歩一歩歩みよる瞬間、耳をつんざく奇声に一瞬ひるんだ怪物。

―やらなきゃヤラれる!

私の中の狂気が弱い私を引っ込める。
怪物に立ち向かう為に、身を沈めたソファから傷だらけの薄汚れたガラステーブルに飛び上がる。 微かにきしんだテーブルから秋の背中をバネがわりに飛び上がり、ひるんだ怪物の、無駄にでかい南瓜頭目掛けて足を絡める。

『…Hey Guy?』

―――どうかしら?私の愛撫は――――――――
あんたの頭の中ではセックスもプロレスも同じなんでしょう?だからあんたは嫌がるあたしに何度も技を仕掛けてきたのよね。
どう?私の脚は…白くて柔らかくて温かくて、素敵でしょ?あんたのプロレス技の様なセックスとは違って、もっと気持ちいいことしてあげる…。

足首をクロスして、外れない様にロックして、脂ぎった頭を抱き抱えて視界を塞ぐと怪物の脚はフラついた。

瞬間、全身の力を抜いて後ろに倒れこんだ。
一瞬だけね、その力を上手く利用して身体を反らすと、面白いことに、怪物の身体がフワッと浮かびあがり、くるぅりと回った。
私の白い脚には大きな怪物がいて、同じ様に回っている。

ドォン!

怪物の足が狭い部屋の天井にぶつかりバランスが崩れそうになる。
しかし、このままこの怪物とイッてしまう訳にはいかない。
逆さまで、パンツをさらけ出しながら両手を床に着く瞬間、重たい怪物の身体は重力に逆らえずに テーブルに落ちた。
僅かな失速とは言え、最後の望みはまだ捨てれない!
音響に掻き消された怪物の悲鳴は、脳天から墜ちた瞬間消えた。
とても人には見せられない恰好でフィニッシュを向かえた私。

『はぁ…っ、はぁ…』
山の様な身体が崩れ落ちる。

『ね、イッた?私のテクニックは凄いでしょ?』

何の反応もしないのかと思ったけど、あらゆる穴から液体が漏れていたから昇天したみたいね。
  ばーか
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