夏海(15)~ポケットに入れてるだけの電話が勝手に電話することってあるよねー
こう叫んで、あたしは

握り締めていたマイクを、

たかだかとあげた。


瞬間

私の全身が

神々しく輝いた。

さっきまで

着ていた制服が

いつの間にか

溶けていくように消え

生まれたまんまの姿に…。



「秋くん、やーん。

みちゃダメっ☆」



手であわてて、二つのふくらみを隠した。

「…だって…胸、小さいんだもん」




しかし、それとて

一瞬のことだった。

マイクは

虹色の光を、

はなちはじめた。

帯状になった

たくさんの

不思議な

不思議な

不思議な

不思議な光が

裸のあたしをすっかり包み、

隠しちゃった。


「あれっ?

オンナは?

ど、

どこへ行った?」


新日くんが、

うろたえている暇もなく

次は

カラオケモニターのなかから

白いユニコーンが

あらわれた。

魔法の呪文で

「こっちの世界」に

導かれ、時空を

とびこえて

やって来たのである。



「♪ラナウェイ、ラナウッェー


いま

かーけーていーく~♪」


秋くんは、

あたしの

裸のシルエットに

ちょっと

「ドキっ!!」

としたけど、

サッと、

横を向いた。

恥ずかしそうにしながら

「興味ないね」とでも

いいたげに

歌い続けてる。

パッと見、

クールだけども、純情なの。

秋クン、超やさしー☆☆☆





ユニコーンは部屋に備え付けられている

電話をとった。


「30分延長したいんですけど…

あと、ピザお願いします。」



「ありえねーっ!

う、

う、

馬が

馬が、しゃべってる!!」
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