フェアリーテイル~キミとオレとの約束~



学校にはかろうじて風紀チェック開始時刻に間に合った。




「あなた、髪が茶色いですね。生徒手帳、出してください。」


「げっ、鉄仮面女かよ…いーじゃんこれくらいよぉ。」


「何か文句があるなら、生徒会目安箱にどうぞ。早く生徒手帳を出してください。」


「…るっせぇんだよ!」



その髪の茶色い男子生徒(このまえトランプを没収した生徒だ。かなりの校則違反を繰り返している。)は私に鞄を叩き付けてきた。


頭は空っぽのくせして鞄の中は重いらしく、けっこうな衝撃がきて身体が傾いた。




「あっ…!」




受け身をとろうにも時すでに遅し。


余計にバランスを崩して頭からコンクリの地面にぶつかる―…!




「ってぇ…女の子にそんな扱いはないんじゃない?甘利(アマリ)。」


「てめっ、そいつの味方すんのかよ!?」


「オレは芹沢さんに失礼じゃないって言ってるんだよ。まぁ、校則違反している君が悪いんだけどね。」




私は多少のパニックに襲われていた。


頭からコンクリの地面に突っ込んだはずなのに、痛くないし。


痛みの代わりみたいに清涼感のある香りと生温さとなによりたくましい腕が私を包んでいた。




「『セ・ラ・ヴィ』の香坂さまよー!」




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