フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
正春はひょうひょうとした態度で、毒づいたオレに言った。
「『バージンブレイカー』ね…1番好きな奴を落とせなきゃ、意味ないんだよな…」
「は…?何、本命でもできた訳?」
それはそれで相手がかわいそうな気がした。
だけど意外にも正春は顔をうつむかせて意味深な表情をつくる。
「ま、本気で好きな奴ほど手を出せないって事だな。だから、翔の気持ちも分からんでもねぇ、ってこと。」
「嘘つけ。さっきまで『アケミちゃん』にメールしてたのにいま『真由美(マユミ)ちゃん』にメールしてる正春に分かるもんか。」
「アメリカ育ちの癖してオクテな乙女男子に言われたくねぇ!」
「その乙女男子って言うのやめてよ!ちょっと裁縫と料理と乙女思考なだけじゃないか!」
「そりのどこが乙女男子じゃねぇってんだよ!」
「オレは男だ!」
「見りゃ分かるよんなもん!だから男子って付いてんじゃねぇか!」