フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
「…ん…」
「芹沢さん!良かった…」
目が覚めたら、香坂先輩の顔があった。
ここ、どこだっけ。
私は身体を起こして周りを見回す。
大きなデスクと、大量の書類。
「生徒会長室…?」
「そう。芹沢さん、倒れたんだけど…」
「何分ぐらい?」
「30秒位だ。そんなに長くはなかった。」
「…先輩。」
「悪かったと思う。謝る。ごめん。」
「いいえ。むしろ、感謝してますよ。」
「は…?」
「やっと、思い出せたんです。忘れてた、物語を。」
今も、
昔も、
あなたといると、
幸せな気分になるの。
私は駆け出す。
ガラスの靴も、
カボチャの馬車も、
素敵なドレスもないけど、
ただの、村娘の私だけど、
いつか必ずと言ってくれた、
あの約束を信じてる。
ね、翔。
あの約束、
今でもまだ、
有効でしょ?