フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
頭が痛い。
氷の塊に突っ込んだみたいに痛い。
あの物語、主人公の『アン』は、私だった。
同時に、私のあこがれている姿だった。
放課後の学校に夕陽の光が差し込む。
階段の踊り場にいる、彼の姿を見つけた。
「芹沢!?どうしたのそんなに息切らして。」
「…昔みたいに、名前で真希ちゃんって呼んでくれないの?」
「え…?」
頭が痛い。
倒れそうに苦しい。
倒れちゃだめ。
言わなきゃ。
私は、9年前まで出来たようにほほ笑む。
「あの約束、まだ、有効だよね?…しょう。」
「…!ま…きちゃ…」
9年前、私は密かに誓った事がある。
もう一度、今度、しょうに会えたとき、
言おう。
「私、翔が好き。」
相川でも、実の兄の香坂先輩でもなく。
あなたが好き。
9年前からずっと、
私が笑ってられるのは、あなたの隣りだけだった。
あなたを、愛してます。