フェアリーテイル~キミとオレとの約束~




頭が痛い。


氷の塊に突っ込んだみたいに痛い。



あの物語、主人公の『アン』は、私だった。


同時に、私のあこがれている姿だった。



放課後の学校に夕陽の光が差し込む。



階段の踊り場にいる、彼の姿を見つけた。




「芹沢!?どうしたのそんなに息切らして。」


「…昔みたいに、名前で真希ちゃんって呼んでくれないの?」


「え…?」




頭が痛い。


倒れそうに苦しい。


倒れちゃだめ。


言わなきゃ。



私は、9年前まで出来たようにほほ笑む。




「あの約束、まだ、有効だよね?…しょう。」


「…!ま…きちゃ…」




9年前、私は密かに誓った事がある。



もう一度、今度、しょうに会えたとき、


言おう。






「私、翔が好き。」






相川でも、実の兄の香坂先輩でもなく。


あなたが好き。


9年前からずっと、



私が笑ってられるのは、あなたの隣りだけだった。




あなたを、愛してます。




< 127 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop