フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
苦しみは海の中。
波にさらわれて流れてく。
ゆらりゆらゆら、
流れてく。
やっと見つけた。
あたしの地面。
「思い出したんだね…」
「遅くなって、ごめん。」
「9年もかかって、ごめん。オレ、何も出来なかった。」
「来てくれたから、もう良いよ。翔。」
あたしがあたしをやっと見つけた。
時間はかかって、少し寄り道したけれど、
翔がそばにいてくれた。
ずっと、
いてくれた。
「それで?あたしの告白の返事は?」
「えっ…あれ、本気だったの?」
「もちろん。失礼ね。で、返事は?」
翔はあたしをそっと優しく、
壊れ物を扱うみたいに、戸惑ったように、抱き締めた。
「ありがと…嬉しい。でもオレは、ずっと好きだったんだけどね。」