フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
◇沙門◇



朝起きたら、母さんがいなかった。


あいも変わらずの洋食の朝ご飯を作りおいて、朝っぱらから出かけていた。


こんなこと、今までなかったのに。




「あー、沙門か。おっはー。」


「父さん…その中途半端な古さ、どうよ。」


「んー?まぁいいだろ。お、母さんは出かけてるのか。」




そう言っていつも通り食卓につき朝食を(かなり下品に)貪った。



俺の父親・香坂 仁人(コウサカ ヒロト)は、店を3つほどもっている。




「あ、もしもしカナちゃーん?今月のNo.1決まった?」


「お、シュウト?新人はどうなってんの?」


「サチコママぁー。調子どう?」




そう。


俺の父親が経営しているのは、



キャバクラ



ホストクラブ



ニューハーフバー



つまり、おミズの店。


元はいっかいのホストに過ぎなかった父さんはそのローテンションな接待で一躍ホスト界のスターになった(らしい。)



どうやら俺の顔は父親から受け継いだものらしく、双子と間違えられるほど似ている。


もっとも今は父さんの方が髭が長いんだけど。




「父さん、眠いんなら寝たら?」


「んー、でも腹減ったし。」


「あー、そう。」




とにかく俺の父親は父親としてちょっと規格外の人だ。






< 157 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop