フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
☆翔☆


どこに行ったんだろう。


オレは町中を探し回ったあげく、学校に的を絞ってみた。


中学時代にテニスをやっていただけだから、かなり足が限界に近い。



それでも走った。



こんな時に、1人になんてできないから。



なにより、



真希は泣いていた。





『…あの娘、元気でしたか?』



『怪我してませんでしたか?』



『あの人は、どうなんですか?』






真希の母親、そして、香坂先輩の母親だという人は、泣いていた。



泣いたら許されるとでも思っているかのように、泣いていた。




くだらない。



だから言った。





『あなたは何をしたいんですか?』


『理由もなく、会いたいというだけで会いに来て、相手がどう思うか、考えないんですか。』


『あなたは真希にとって、もういなくなった存在である事を、わすれないでください。』




子供は、イヌやネコみたいにポイポイ捨てるものじゃない。


ましてや、拾うものでもない。



オレはそれをよく理解している。






< 165 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop