フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
『若様…?聖宮のお嬢さんがお見えですよ。』
「そう。通してくれて構わないよ。」
豪奢な西洋風の扉の向こうから、素っ気ない返事が返って来た。
ガチャッ…
無駄に重たそうなドアを聖宮が開けて、部屋に入り、付き従うように俺も入る。
「雪乃ちゃん、久しぶり。婚約の話が出て以来?」
「そうですね。」
部屋の中は想像通りというか、アンティーク調の家具で揃えられ、本がぎっしり詰まった本棚とか、
沢山の調度品とか、
綺麗な絵画とかが品良く飾ってあって、
そんな部屋の窓際に、普通の、町にいそうな若者のかっこをした男が無表情で立っていた。
これが…賀宮 康祐か…?
なんていうか、すんごいカッコイイ。
海乃みたいな女顔でもなく、
俺みたいな甘顔(←ちょっとコンプレックス)な訳でもなく…
「婚約の話…なぜ貴方は抵抗なさらないの?」
「…それ、は…」