フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
賀宮 康祐は俺にイスを進めた。
近くで賀宮康祐を見ると繊細そうな、病弱なお坊ちゃんを連想してしまった。
優しいオーラが充満してるんだよなー…
「雪乃ちゃんがここに君を連れて来たって事は、事情は大方察してるんだろう?」
「聞きかじり程度の事なら。」
「そうか…雪乃ちゃんは十和子が大切みたいだからね。」
「あなたは、そうでないんですか?」
「俺も…大切だよ。十和子は、大切な存在だ。」
「なら…なぜ…」
やば、踏み込みすぎたか?
そんな考えが一瞬頭をよぎったけれど、言ってしまった事はどうにもならない。
だけど賀宮康祐の反応は穏やかなもので、
「俺は…見た目通り身体が弱くて、仕事も屋内でしかできない。
それに、跡継ぎとか…そんな下らない事に、俺のせいで縛られたくないんだ。」
「賀宮は、なんて言ってるんですか?」
「なにも…近頃は会ってもいないから…」
賀宮康祐は自嘲するように笑った。
なんか、
ちょっと前の、
真希に、
似ていた。