フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
「君は…東大を出ているんだろう?雪乃ちゃんから聞いた。どうして私立高校の非常勤講師をしているんだ?」
「俺は…あの子を…助けたくて…でも…」
届かなくて。
真希は海乃を選んだ。
俺の元には来てくれない。
それでも俺は真希のそばにいたくて…
「…十和子は成長していく。心も身体も、ひょっとしたら、俺へ向けてくれている気持ちさえも。」
考え込んだ俺を見て何か感じたのか、賀宮康祐は別の話をした。
日焼けした後が見られないぐらい白い顔の眉間に、深いしわをよせて言った。
「俺は…十和子に見限られるのが怖い。
生い立ちからか、一族中に中傷されながらも、今まで暮らして、今も俺のせいで、俺との関係があるせいで、嫌がらせをされている。
十和子からお別れを言われるのが、果てしなく怖いんだ!!」
叫ぶような、心からの懺悔だった。
好きなのに、
好きって言ってくれるのに、
自分は何も持ってない。
むしろ相手を不幸にしている。
変わってほしくない。
でも変わってしまうかもしれない。
それはとても辛いから……………