フェアリーテイル~キミとオレとの約束~



力が抜けて、ソファに座り込む。


高級そうなソファは俺の体重と重力に逆らう事なく俺の身体を埋めた。




「随分な荒療治でしたわね。」




長いお手洗いから戻って来たらしい聖宮は、俺の目の前に座ってそう言った。




「るっせ…あんなうじうじしたヤローなんか見たくもねーんだよ。」




違う。


あれだけ腹が立ったのは、


あれだけ叫んだのは、



賀宮 康祐が、俺と似ていたからだ。



あきらめきれなくて、


でも離れてくのが怖くて、


必死であがいて、


あがいてあがいてあがいて、




「貴方がずっと想っていらっしゃるのは、芹沢さんなんでしょう?」


「そーだよ。ずっとずっと、真希が好きだった。あきらめられなかった。これからもきっとあきらめられない…」






「けれど、心は必ず移ろうのでしょう?」





聖宮はそう言って、ほほ笑んだ。








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