フェアリーテイル~キミとオレとの約束~


僕には勇気がない。


だからアンみたいに飛び出せなかった。



勇気が欲しい?




『―どうやら、目覚めた様だな。へっぽこ王子よ。―』




アンバーがニッと笑った。




「アンバーとはよく名付けたもんだな。先代の王か?」


『―否。先代の巫女だ。バンシーは皆琥珀を流すと言うのに、あなたの琥珀が1番綺麗だからと…―』


「あー、ほんとだぁ。キレー。」


『―なっ!拾うなアン!まじまじと見なくてもよいであろう!―』


「え?でもいっぱい落ちてるよ?」


『―だからって拾うな!―』


「なに?恥ずかしいの?あっそうか!これ全部アンバーの涙だもんねぇ…」




なーきーむーしー!



ヨセフはアンバーを見事にいじり倒してこの厳格な少女を大泣きにいたらしめたアンを見て、在りし日の巫女とアンバーを見た様な気がした。








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