フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
あたしのやらなきゃいけないこと。
これからの未来のために、絶対抜かせないこと。
「真希…?」
考えにふけってると、また翔が心配そうにあたしを見ていた。
翔は随分成長したな。
昔は、髪や目の色のせいでいじめられてよく泣いていた、あたしを頼る小さな男の子だったのに。
「昔と、逆だね…」
「え…?」
「昔は、あたしが翔を心配する立場だったのにな。」
「なんだよ急に。」
「翔が男らしくなったってことだよ。女顔で乙女趣味なのは変わってないけど。」
女顔はよけいだろ。とあたしは翔に頭をコツンと小突かれた。
その瞬間、あたしの右目の視界が揺らいだ。
白いもやがかかって、翔の輪郭がぼやける。
左目がはっきり見えているものだから、あたしは気分が悪くなった。
右手で右目を覆って、なんとか堪える。
「真希…!どうかしたのか?右目…?」
翔が騒ぎ出したとき、ガチャッとドアがあいて、エリックがでてきた。
とても深刻な顔をして。
「脳に血腫はなかった…だけど、右目には…網膜前黄斑線維症(モウマクゼンオウハンセンイショウ)が見えると判断された…」