フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
「芹沢さんの場合、この角膜潰瘍(カクマクカイヨウ)が問題です。強い衝撃による角膜の軟化によるもので…角膜移植が必要です。」
「角膜…移植?」
それって、あれでしょ。
アイバンクとかいうとこに登録してある人が死んだら、角膜とかを提供してくれる…
呆然とした。
なにも、言えなくなった。
眼科医は、それでも事情を伝える。
「角膜移植が受けられなければ…視力は、絶望的だと思ってください。」
エリックが舌打ちをした。
ハッと我に帰る。
角膜移植を受けられなければ、右目の視力を失う。
見えなくなる。
右が、消える。
「あと…どれくらい保ちますか?あたしの右目。」
「はっきりとはわかりませんが…おそらくはあと半年ぐらい。それで、もう色ぐらいしか認識出来なくなります。」
決して絶望的ってわけじゃない。
左目はのこるし、べつにガンになって余命宣告をされたわけでもないのに、あたしは、この瞬間、世界から見放された気がした。