フェアリーテイル~キミとオレとの約束~


「芹沢さんの場合、この角膜潰瘍(カクマクカイヨウ)が問題です。強い衝撃による角膜の軟化によるもので…角膜移植が必要です。」


「角膜…移植?」




それって、あれでしょ。

アイバンクとかいうとこに登録してある人が死んだら、角膜とかを提供してくれる…



呆然とした。



なにも、言えなくなった。


眼科医は、それでも事情を伝える。




「角膜移植が受けられなければ…視力は、絶望的だと思ってください。」



エリックが舌打ちをした。


ハッと我に帰る。



角膜移植を受けられなければ、右目の視力を失う。


見えなくなる。



右が、消える。




「あと…どれくらい保ちますか?あたしの右目。」


「はっきりとはわかりませんが…おそらくはあと半年ぐらい。それで、もう色ぐらいしか認識出来なくなります。」




決して絶望的ってわけじゃない。


左目はのこるし、べつにガンになって余命宣告をされたわけでもないのに、あたしは、この瞬間、世界から見放された気がした。






< 200 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop