フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
「それより、なんで俺の番号知ってるんだ?」
あんなチャラ男に教えた覚えはないんだけど。
まぁ薄々分かってんだけどな。
どうやって調べたか。
『聖宮が教えてくれた。』
「だと思った。」
1時間目終了のチャイムが鳴り響いた。
うだうだ言ってるヒマはない。
俺は大きく息を吸い込んだ。
「俺が今言えるのは一つだけだ。可能性はないことはない。」
『ちょっ…それどういう…』
「悪いが仕事があるまた後で。」
なにやらケータイの向こう側で叫んでいる香坂を無視して、俺は電源ごとケータイを切った。
真希には、今日学校を休むように言ってある。
真希は素直に俺の言う事に従った。
今、真希は多分、俺にすがってる。
失明する恐怖で海乃の事を一切合切忘れて、俺に甘えてきた。
単に昔に戻った訳じゃない。
むしろ悪化している。
俺は授業の準備をして、担当クラス…狩野と海乃のいるクラスに向かった。
ガラッとドアを開けて、教卓に教材を置く。
教室を見回して、2人がいる事を確認した。
海乃はヒドい顔をしていて、狩野はそんな海乃を不安そうに遠くから見ている。
時計を見るとあと5分ほど余裕はありそうだ。
「狩野、海乃、ちょっと。」
俺は2人を廊下に呼んだ。