フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
☆裕★



つくづく、自分は真希に惚れてるんだと実感してしまった。



まぁ、俺自身がお人好しだからってこともあるんだろう。




「相川先生ってバカですよねー。せっかく向こうから来てくれたのに。」

「るせぇな。抜き打ちテストするぞ。」




えー、ヤダー。とか喚いているのは失恋ピエロ(勝手に命名)の狩野だ。


出来るくせにわざとやらない曲者。



それは恋愛でも同じだった。




「お前、わざと動かなかっただろ。」




俺は化学科準備室で呑気に俺の前でコーヒーを飲んでいる狩野に言った。


狩野はわざとらしく首をかしげながら、なんのこと?と言っているが顔が笑っている。



余裕の笑み。




「分かってんだぞ。お前、わざと奪わなかった。…真希を。どうしてだ?」




そう。


こいつはわざと動かなかった。



真希と海乃を、ひっかき回そうとはしなかった。


ほかのカップルは容赦なくかき回して行くのに、それだけの方法を知っているのに。







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