フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
「だ、誰か…」
誰か、
日下部、はダメだ。あいつは飲み込み悪い。
狩野、もダメだイタズラ好きだから何しでかすか分からない。
芹沢~!友達作っといてよーーー!
「ジュニア、家に連絡してあげればいいじゃないか。何故しない?」
「…芹沢はさ、あそこの家の娘だよ?この時間に帰ってないだけでもヒドい目にあわされる。」
近所じゃ『あそこの家』と言えば芹沢の家をさす。
芹沢がうるさいわけではなく、母親の方がヒステリーを起こして家のあっちこっちを破壊している音は隣り町にまで聞こえるんじゃないかと思うほどなのだ。
「あそこの家の娘なのか!?」
「うん。芹沢 真希って言うんだ。」
「マキ…そうか、この娘がジュニアが会いたがっていた『真希』か。ん…?」
エリックは芹沢のシャツの袖からはみ出していた包帯に目をつけた。
昼間無理矢理保健室に連れて行ってオレが薬を塗って巻いた、あの火傷のやつだ。
エリックはなれた手つきで包帯をはずし、火傷を診て言った。
「…これは…ヒドい。」
「だから、言ったじゃないか。」
するとエリックは何かをおもいついたように顔を上げた。
「ジュニア、私に良い考えがある。乗るか?」