フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
母が出ていった事は覚えていた。
生きているのか死んでいるのかは分からない事も。
「海乃!あなたまた書類間違ってるよ!」
「えっ!?どこどこ?」
「ここは書かないでいいって、言わなかった?」
「本当お前書類苦手だよなぁ。」
「オレは一応アメリカ育ちなんだよっ!日本の書類は複雑すぎなんだ!正春だって言ってたじゃん!」
「いいから書き直せ海乃。」
「だってー」
「か・け」
「はぁい…」
どこの子供なんだあなたは。
「狩野も早く会計済ませなさい。」
「うぃーす。」
記憶の中に母の顔はない。
いつ忘れたのかさえ分からない。
父親の記憶だってそんなにない。
だから、母親がいないなんていうそんな感覚さえない。
いたかどうかわからない人だから。
「真希、呼んでくれる?」
「あっ、はい。会長ー。会長ー。相川先生です。」
「相川…?」
「よぉ真希。頑張ってんね。ちょっと会長室入れてくれないかな?」
「またあの人達ですか…」
「悪いねぇ。」
相川は人気がある。
それこそいろんなジャンルの人に。
中でもヒドいのはストーカーとなるのだが…
「ホント、熱心ですよね…」
「ま、まぁねぇ…」
「宮様トリオ。」