フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
「おとぎ話の中の話かと思ってたわ。」
「まぁね。僕の弟と妹も、そう思ってるだろうね。僕自身も、信じがたいんだけど。」
ヨセフは両手を挙げてお手上げのジェスチャーをしてみせた。
「明日、あのシルキーのもとへ行かなきゃいけないんでしょ?」
「あのシルキーが長だろうからね…」
若くみえた、あの綺麗な女の人をアンは思い出した。
―お前みたいに可愛げのない子供、産むんじゃなかった。―
自分があれくらい綺麗なら、きっとお父さんもお母さんも、振り向いてくれるだろうか。
「アン…?」
「何?」
「何考えてたの?」
「ううん。なにも考えてないけど?あ、ちょっとおなか減ったかもー。」
アハハ…とアンは笑った。
何考えてるんだろうわたし。
わたしはアン。
ほかの誰でもない。
わたしの心はわたしのものよ。
お母さんにだってお父さんにだって、
渡すつもりはないんだから。