エンドレスラブ
それでも克哉兄さんは本題を忘れてはいなかった。
最近のお互いの家族の様子など、
一通り世間話をしたあとだったけどね。
急に克哉兄さんの顔つきが真剣になり、
『まさか若菜が小説家になるなんてな』
と言って苦笑いを浮かべた。
それでも克哉兄さんの目は私に『おめでとう』と伝えてくれた気がした。
「原作を読んだとき、すぐに映画化にしたいって思った。
そして…メガホンは俺が取りたいって初めて強く思った。」
初監督なんだよ、俺。
そう言った克哉兄さんがカッコ良かった。
小さい頃はよく遊んでくれて、
面白いことばかり言う、面白いおじちゃん
っていうイメージしかなかったけど
こんな仕事熱心な克哉兄さんを見てると尊敬するよ。
そしてそんな凄い人に選ばれた私の小説って…
この時はじめて私自身誇らしくなった。