エンドレスラブ
なかなか『YES』と言わない私に痺れを切らしたのか、
世良修吾は大きな溜息をひとつ吐いた。
その姿は完全にテレビの世界で輝くイケメン俳優から遠ざかっている、
いわゆる『素』ってヤツだ。
「条件のまないと、スグにバラしちゃうよ?」
そう言って彼はおもむろにジーパンのポケットから携帯電話を取り出して私の顔の前へ突き出す。
ああ…その意地悪なカオ、
ファンの子が見たらどう思うだろうか…。
「あなたの本性、世間にバラしますよ?」
負けじと私も優勢な立場になるため言ってみたものの
「バラしたところでファンがそう簡単に信じるか?
俺のイメージはアンタの一言なんかで塗り替えられるモンじゃないんだよ。」
あっさりと彼は私の反逆を蹴散らしたのだ。
「ほら、どうする?wakanaサン?」
余裕の笑みで『どっちにする?』って訊いてるけど、
今の私に『NO』と言える口はない。
どんな条件だろうが『YES』しか言えない。
私は完全に世良修吾に手なずけられてしまった。
…最悪、だ……。