エンドレスラブ
そうして私達は『世間上』恋人同士になった。
世良修吾はせっかちな人なのか、
私が条件を呑んだ翌日のスポーツ新聞の一面には熱愛報道がでかでかと載っており、
朝のワイドショーとかにも大きく報道された。
* * *
「私と付き合うことで、あなたにとってどんなメリットがあるんですか?」
条件を呑んだ直後に浮かんだその疑問を、
世良修吾にぶつけてみる。
「ありまくりだろ。正体不明のベストセラー作家と付き合ってるんだぞ?
マスコミはより多くのアンタの情報を知りたいがために俺を頼ってくるんだよ。
テレビ・ラジオ・雑誌…多分これから仕事が増えるはずだ。」
「ただでさえあなたは忙しいのに…そんなに忙しくなってどうなりたいの?」
「俺はまだまだ上へいけるんだ。そのためにはアンタを利用してでも上っていきたいんだ。」
真っ直ぐな瞳で言われたからには、彼は本気だと言わざるを得ない。
言ってることはよくわからなかったけど、
その瞳を見ると、なぜか私の胸の鼓動が早まった。
「協力なんてしませんよ?」
「構わない。アンタの存在だけで、俺に協力してることになるから。」
冷めた彼の姿。
数十分前の私の『好き』なんて感情は、
いつの間にかどこかへ行っていた。