男前な彼女
朝陽兄ちゃんは口をパクパクさせながら、指を少しばかり震えさせている。
だいぶ、動揺してるみたいだ。
無理もないとは思うが…
「あぁ…あ…ぁ……」
「お、お兄ちゃん!落ち着いてぇ!」
その声を聞き、海兄ちゃんもやってきた。
「な、兄さん!なに…金魚みたいな顔して……」
海兄ちゃんはちらっとあたしたちを見る。
そして、納得したような顔になった。
「あぁ…そういうことね」
海兄ちゃんは現状を呑み込むのが早い。
冷静なんだよね…
つくづく感心する……
一方、まだ現状を呑み込めていない様子の朝陽兄ちゃん。
おそらく、理解していないというよりは……
納得できない、といった感じかな…?
「さ、咲夜…が……お、男に…抱きしめられ…られ…て……」
「兄さん、とりあえず落ち着きなよ」
「これが落ち着いていられるかぁっ!!明らかに、咲夜が襲われている現場じゃないか!!」
海兄ちゃんになだめられながら、朝陽兄ちゃんは半泣きになっている。
…というか、なにか大きな誤解があるようだ。