男前な彼女
やめろよ……
そんなこと言わないで…
あたしたちのことを何も知らないお前が、軽々しくそんな言葉を口にするな。
そう……
思うのに……
「あ……高槻…さん」
気づけば、涙が流れていた。
ただ、
悲しくて、
悲しくて……
浦河の言葉を否定できないことが悲しい。
悲しくて、悔しい。
信じてる。
上牧のこと、信じてるけど……
心の片隅に自信のない自分もいる。
どんどん不安になる。
どんどん嫌な方向に引っ張られていく。
浦河の言葉を否定できないのは…
浦河の言葉が
間違っていない気がするから…
「高槻さん……」
浦河があたしを抱き寄せる。
「大丈夫。俺がいるから」
まるであたしの心を示すかのように…
雨が降り始めた。