男前な彼女





そういえば……





「上牧って、一人暮らしなんだな」


「ん?まぁな」








母親とか父親とかの気配が全くない。






この広い部屋に一人暮らしかぁ…



羨ましいけど……



でも……







「寂しくない?」


「そう思うなら一緒に住んでくれよ」


「ふざけんな」


「へいへい」







何にもなさそうにしてるけど、絶対寂しいはずだよね……







「もう馴れた。いっそ、すがすがしいよ。俺、両親があんまり好きじゃないから」







そう言いながら、天井を見上げる。



そんなこと、簡単に言うなよ……







「あ、それより」


「ん?」


「この間は悪かったな。強引にあんなことして」







あんなことって…


もしかして…


というか、もしかしなくても…



“あれ”のことだよなぁ…





前、ここに来たときの……







あまり思い出したくはないが……











< 169 / 412 >

この作品をシェア

pagetop