男前な彼女
そういえば、最近南から浦河のことを聞かない。
話してくれないのだ。
聞いても『別に…』としか答えてくれないし。
――照れてるのかな…?
でも、やっぱり親友としては気になる。
あたしは喫茶店からの帰り道に、また聞いてみることにした。
「ねぇ、最近 浦河とはどうなの?」
ただ浦河の名前を出しただけなのに、南は顔を赤くする。
「別に…なんにもないけど……」
やっぱり、いつもの返し。
――そんな顔を赤くして、なんにもないわけないじゃん……
そこまで、じらされるとすごく気になってくるんだけど…!
前の彼氏とのこともあって、心配だし……
――南、前の彼氏のことはよく話してたのになぁ……
何故 話してくれないかは分からないけど、きっと南は南で何か考えているんだろう。
――それなら、話してくれるのを待つしかないのかもしれない…
あたしは、顔を赤くして黙る南の横顔を、少しだけ見つめた。