男前な彼女
上牧は約束通り、さっきと同じ場所にいた。
「お待たせ」
「遅い!」
ちょっと怒ったような顔をして、あたしを見上げる。
「……仕方ないじゃん」
「ったく……」
怒りながらも許すのは、優しいからか、それともあたしに甘いからなのか…
もしかしたら、どっちもかもしれない。
「…まぁいいや。今から俺の家に行くぞ!」
上牧はそう言うと、急にあたしの手を掴んで歩き始めた。
「…え?えぇ…なんで急に……?」
少し早く歩く上牧に引っ張られながら、話しかけるけど、上牧は答えない。
後ろからだと表情も分からなくて、上牧が何を考えてるのかなんて検討もつかない。