男前な彼女
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「さっむー!」
冬の夜道は凍りそうなほど寒い。
しかも今日はちょっと風があって、思わず縮こまってしまう。
「そういえば、もうすぐ何があるか知ってるか?」
上牧の急な問いかけが、うっすらと耳に入ってくる。
今は寒さがあたしの頭の中の約80%を占めていて、正直テンションが上がらない。
「んー……あたしの誕生日?」
「え、そうなのか?」
「いや、違うけど」
「なんやねん」
「じゃあ……みどりの日とか?」
「ありえねぇだろ」
「なんだ、今日はツッコミがさえてるね」
「お前は、ボケがさえてるねぇ」
起きたときの不機嫌さは消え、今はテンションが妙に上がっているようだ。
寒い中でも元気なんて…なんだか犬みたいだ。