男前な彼女
ご飯の時間にしては遅いことに疑問を抱きつつも、席につく。
「お父さんを送りに行ってたら、遅くなっちゃっただけよ」
「あ、そういえば…」
お父さんがいないことにたった今、気がついた。
「また仕事?」
「そうそう。今頃は飛行機の中じゃない?」
お母さんは「次はいつ帰ってくるのかしらねぇ…」と、ふてくされた顔でぶつぶつ呟いている。
――お母さんも、お父さんの前では冷静を装ってるけど、本当はお父さんが帰ってきたり、くっついたりしてくると嬉しいんだよね……
口では絶対に言わないけど。
「海兄ちゃんは…バイト?」
「あぁ、さっき出てった」
海兄ちゃんも最近バイトを始めた。
どこで働いてるっていうのは聞いたことがないけど……
海兄ちゃんは昔から秘密主義だ。
妹のあたしでも海兄ちゃんに関しては分からないことだらけ。
「まったく…朝陽兄ちゃんとは正反対だな…」
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもないでーす」