男前な彼女
「さ、入って」
着いた場所は、店の一番奥にある店長専用の部屋だった。
更衣室よりもちょっと広いぐらいのその場所は、完全に店長の私室と化していた。
「とりあえず、座りなよ」
あたしは近くにあった椅子に腰かける。
「はい、お茶。あ、コーヒーの方がよかった?」
「い、いえ…お茶でいいです」
「お菓子もあるよ。僕、甘いもの好きでね~」
笹岡さんは、あたしを落ち着かせようとしているのかもしれない。
だけど、そう簡単に落ち着けるものでもなかった。
笹岡さんは、そんなあたしを見て、ため息を一つつく。
「びっくりしたでしょ?」
「え?」
「あんな現場、見ちゃって」
「そりゃ……まぁ…」
驚いた、なんてものじゃなかった。
衝撃的だった。