男前な彼女
思わず目を瞑ったあたしの耳元で、笹岡さんはくすくすと笑った。
「じょ・う・だ・ん」
「……へ?」
「冗談だよ」
――ええぇぇぇぇ!!!
あたしから離れ、立ち上がる。
――か、からかわれたっ!!
冗談が冗談に聞こえないとはどういうことだ。
「さ。仕事、仕事!」
笹岡さんは何事もなかったかのように、そそくさと部屋を出ていった。
寝そべって呆然とするあたし。
あたしはしばらく、そこから動けなかった。
笹岡さんにクリスマスのことを相談し忘れたことに気づいたのは、バイトの帰り道だった。