男前な彼女
そんなことよりも、おたしも上牧に聞きたいことがあった。
「あんた、なんで泣いてたの…?」
静かにコーヒーをすする上牧に疑問を投げ掛ける。
あたしがいなくて寂しかった?
クリスマスに独りだったことが悲しかったのか?
だけど、そんなことで上牧が泣くなんて、あたしには考えられなかった。
いろいろ考えたけど、やっぱり結論は出なくて。
男としては、あまり触れてほしくないところかもしれないが、
でも、これだけははっきり聞いておきたかった。
いつも偉そうな上牧が泣くなんて、よっぽどのことだと思うから。
「独りだったんだ」
上牧は、ただどこかを見つめて、低く呟いた。