男前な彼女
「クリスマスは、毎年 独りで過ごしてた。
両親は二人でどこかへ旅行に行って、俺は一人、家に残されて…」
上牧はまだ、どこかを見つめたままだ。
独りでいた時の自分を思い出すように…
それでも、思い出を拒むように…
上牧は目を閉じる。
「クリスマスだけじゃない…。もっと、もっと…」
耳を塞ぎたくなる。
声から伝わる上牧の悲しみに、あたしまで悲しくなる。
でも、そんな思い出を一番 拒絶したいのは、上牧なんだ。
それなのに……
「もう、独りは嫌なんだ」
それなのに、上牧はあたしに微笑みかける――